『人工知能が検診の見落としを防ぐことは可能か?
「人間と人工知能の併用」が開く医療の新時代』
という論説に出会った。
引用、後述しています。
要は、
がん検診の判定を人間が行うのは難しい。
これを補う手立てとして人工知能に期待できる。
システム開発が進んでいる。
人間とAIのコラボが次世代がん検診を実現する。
という要旨。
当り障りない内容。
人間とAIがコラボするシステムは当然できる。
しなければならない。
問題は最終的判断。
人間がしなければならないことだが、
その人材をどう作るか育てるかだ。
そして、
AIの暴走をどうコントロールするかだ。
なにも語られていない。
システム開発のアピールにすぎないように見える。
AIが出した判断の仕組みを理解した上で
如何にAIテクノロジーが進展したとしても
最終判断は人間が下すべきと考えている。
そうしないとならない。
なぜなら、AIの判断材料や判断の仕組みは
人間が条件として与えたものだから
その枠組み内の判断でしかないから。
AIの判断材料や判断の仕組みを
どう与えるかを的確にできる人材が求められるが
どうするのだろうか?
医療とITの統合ソリューションが求められる。しかし
今の教育体制では難しい課題だ。
一方、
最近、囲碁の世界で活躍するAIは
人知を超えた判断をするかのように
言われているのが気になる。
本来AIは人間のコントロール下で
人間の判断を助ける働きに留めなくてはならない。
コントロール不能にしてはいけない。
システム開発ではこのようにならないよう
AIコントロールルールを予め決めておかないと
恐ろしい世界が直ぐに現出し
苦しむことになりはしないか?
そうしないと、
機械が出した結果を鵜呑みした輩が必ず出てくる。
警戒しなくてはならない。
誤審を少なくするとか、
XX先生が関与するシステムが出した結論だ、とか言う、
言い逃れや責任回避が横行するのを懸念する。
以下は、論説の引用です。
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人工知能が検診の見落としを防ぐことは可能か?
「人間と人工知能の併用」が開く医療の新時代
2017年8月
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6月29日、NHKが「青森県のがん検診で
多数の見落としがある」というニュースを報じました。
青森県が、県内でがん検診を受けた人を
対象に調査したところ、胃がんと大腸がんについて
検診で患者の4割が見落とされていた可能性が
あることを示す分析結果がまとまったというのです。
内部告発にも近いインパクトのある報道でした。
これに対して、
全国のがん検診を統括する国立がんセンターは
声明を出し、以下のような見解を発表しました
(「情報提供:青森県のがん検診での
見落としに関する報道について」)。
・青森県内の一部の自治体のみのデータであり、
より多くの範囲で調べないと数値は信頼できない。
・照合のための観察期間が2年間と短く不十分である。
・小さい早期ガンは見落としに含めるべきではない。
国立がんセンターは、
“報道された数値はごく予備的な数値に
基づいて算出されているので、
慎重に解釈し、適切な判断を行う
必要がある“としています。
つまり、
「報道ほどの見落としはないのではないか?」
と言いたげな内容です。
がんの見落としの正確な割合を計測するのは
非常に困難です。
報道の内容については、
確かに“慎重に解釈”が求められるでしょう。
一方で、
「見落とし」は起こり得るのだということも
心しておかなければなりません。
医療界は、見落としを防ぐためにありと
あらゆる努力を行う必要があります。
現在、私たちは
「内視鏡画像人工知能診断支援システム」
の開発を進めています。
このシステムは、がんの見落としを防ぐ
手段の1つとして必ず役に立つと考えています。
●乳がん検診では15~30%の見落とし?
青森県の今回の報告では、
検診を受けて異常なしと判定されたのに
1年以内にがんと診断された人を
“見落としの可能性がある”と
定義しています。
延べ2万5000人を対象に調査を行い、
その割合を計算したところ、
バリウムによるX線胃がん検診で40%、
“便潜血検査“を行った大腸がん検診で
42.9%でした。
調査範囲が限られているとはいえ、
4割ものガンが見逃されているという
事実は十分衝撃的です。
さらに、それ以上に反響が大きかったのは、
“専門家によると、
がん検診では20%程度の見落としは
許容範囲”という部分でした。
その背景としては、
がんの発見率を100%に近づけようとすると、
本来必要でない精密検査を行うことで
健康被害を引き起こすおそれがあることと、
20%程度であれば次回の検診で見つければ
影響も少ないから、とされています。
実際に、NHKの報道を受けて
国立がんセンターが出した声明文にも、
「感度は、例えば乳がん検診においては
70%から85%前後」と明記されています
(「感度」とは、がんが本当にある人が、
検査でがんであると診断される確率のこと)。
つまり、検診で15~30%の乳がんが
見逃されている可能性があるということです。
専門家的にとってはいくら当たり前のことでも、
一般の方にとっては
こちらの方が衝撃的な情報だったようです。
検診の精度は、それくらいが精一杯なのです。
なので、検診で異常がなくても、
気になる症状が出た場合はためらわずに
再検査を相談することをお勧めします。
●早期ガンの発見は職人技
さて、がん検診が20%の見落としを
許容していることに違和感を感じる方も
多いでしょう。
なぜ、早期ガンの発見が難しいのでしょうか。
以下の写真をご覧ください。
胃がんはどこにあるのでしょうか。
http://expres.umin.jp/mric/mric176-2.pdf
正解は次の通りです。
http://expres.umin.jp/mric/mric176-3.pdf
胃がんは右側の写真の矢印で
指し示した部分になります。
ただし、左側の写真もピロリ菌胃炎があります。
胃がんの内視鏡検査では、
胃炎の中で胃がん部分を見分ける職人技が
必要となります。
この技術の習得には、
一般的に10年間の経験と
1万件の内視鏡検査経験が必要です。
「m3」という医師専門会員制サイトで、
この胃がんがどこにあるかの
クイズを行ったところ、
正解率は約8000名の医師の中で
わずか31%でした。
もちろん、必ずしも内視鏡医が
回答しているわけではないため、
実際に内視鏡専門医が答えた場合には
正解率は少なくとも倍になると思われます。
しかし、
胃内視鏡検診における
胃がんの見落としをゼロにする難しさが、
ご理解いただけるのではないでしょうか。
●「人間と人工知能の併用」の時代に
最近、ほぼ毎日と言ってもよいくらい、
人工知能がニュースを賑わせています。
医療界でも人工知能の可能性に
大きな期待が寄せられています。
人工知能に胃がんの画像を学習させ、
内視鏡医師の診断支援を行わせるようにすれば、
典型的な(よほど珍しいタイプのがんでない限り)
胃がんの見落としは
ほぼゼロにすることができるはずです。
私たちのチームは近々、
胃内視鏡検診の現場で
「人工知能診断支援システム」を
運用することを計画しています
(このシステムは、先の写真から
正解を導き出しています)。
もちろん現時点では、
人工知能が100%正確に診断を
下せるわけではありません。
あくまで内視鏡医師と
人工知能の組み合わせによって、
より精度が高く見落としの少ない
胃内視鏡検診ができるかについて
検証を行っていく予定です。
人間と人工知能の併用による
診断の時代が迫っています。
ぜひ、恐れることなく新しい時代を
迎えていただきたいと思います。
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記事は転送歓迎します。
MRIC by 医療ガバナンス学会
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PDF版は下記リンク。
論説
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